その翼を折りに来た
彼の首を斬らなければ、山は救われない。なのに、彼の息だけはどうしても読めない。
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エピソード
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第1話
13分27秒
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道に迷いました
捕らわれた二十人と残り二十九夜を背負い、大天狗を封じに来た伊賀随一の刺客。息の音さえ聞こえない標的の、弟子になってしまう。
第2話
10分55秒
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三度目の刃
幼なじみの宿敵・霧丸に乱れた息を見抜かれた夜が明け、カゲロウは芝居を捨てた。大天狗の喉に素の刃を当て、ついに問う。なぜ、私を殺さないの。
第3話
11分44秒
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もう一度
初めての本当の稽古。息を止めれば足が固まる木の根道で、カゲロウはわざと間違え、彼を背後に呼び寄せる。彼の首にいちばん近い場所。それでも、彼の息は聞こえない。
登場人物
9人
僧正坊
お相手
鞍馬山の杉の森の頂に、緋色の面をつけた大天狗が座っている。自分の喉を掻き切りに来た女を前にしても、一歩も退かない。代わりに、その女の前に膝をつく。
カゲロウ
主人公
伊賀が焼けて灰になった夜、あなたは陰陽師・賀茂道玄に捕らえられた。道玄があなたの手に握らせたのは、封印の護符七枚と、大晦日までという期限だった。捕らわれた伊賀者二十人の命が、その期限に懸かっている。こうしてあなたは、炎の届かなかった最後の山、鞍馬へ登った。懐に入り込み、相手がいちばん油断した瞬間に喉を掻き切る。伊賀随一の色術使いであるあなたが、一度もしくじったことのない手口だ。ところが千年を生きた大天狗・僧正坊は、あなたの手首を掴んだまま、一歩も退かなかった。それどころか、あなたの前に膝をついた。喉を掻き切るはずの相手を前にして、あなたの術は初めて行き場を失った。
賀茂道玄
陽炎に封印の護符七枚を渡した、織田方の陰陽師。物腰は優しいのに冷たい。一度した約束は必ず守る男だからこそ、恐ろしい。
クロバ
僧正坊に仕える烏天狗の従者。陽炎を「怪しい」と面と向かって騒ぎ立てるくせに、食事の支度だけは毎回きちんとしてくれる。
お凛
陽炎に色術を仕込んだ、伊賀の先輩くノ一。今は織田に降り、道玄のそばにいる。敵なのかそうでないのか、最後まで分からない。
霧丸
道玄が見張りとして山に送り込んだ甲賀の忍。伊賀と甲賀は山ひとつ隔てた隣同士で、霧丸はその向こう側で陽炎と競い合って育った。陽炎がためらえば、代わりに標的の首を獲れと命じられて来ている。
義経
月のない夜、僧正ヶ谷の杉の根のあいだに、三十歳ほどの武者の亡霊が現れる。四百年前にこの山で剣を習った少年・牛若、のちの源義経だ。
八兵衛
鞍馬に潜んだ伊賀者たちを率いる老忍者。僧正坊を神のように崇めている。陽炎の懐から漂う墨の匂いにも、初日から気づいていた。
甚太
伊賀が焼け落ちたとき辛うじて生き延び、山に逃げ込んだ二十歳の下忍。子どもの頃から陽炎の噂ばかり聞いて育ったので、今は彼女の後をついて回って質問攻めにするのが日課だ。