


第3話もう一度11分44秒
鈴が、もう一度鳴った。あの男は刃先を首に受けたまま、私の答えを待っていた。答えひとつに、こんなに迷ったことはない。私はカゲロウなのに。
取引のためだと言えば、取引がばれる。あの人たちのためだと言えば、あの人たちのことがばれる。刺客が手の内を見せたら、それで終わりだ。
カゲロウ顔を、まだ見せてもらってませんから。
顔を見せろとは、さっきもう言った。これなら、何もばれない。あの男は問い返さなかった。全部わかってるみたいに、目を一度、閉じて開けただけ。
刃を引くと、鈴の震えも手のひらから消えた。手が、急に心もとなくなった。
僧正坊木の根道へ、来るがよい。
あの男は、刃の当たっていた首に、手をやりもしなかった。今度も、先…