夜明けを閉じ込めた魔女
夜明けは毎晩巻き戻る。でも、記憶だけは巻き戻らない。
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第1話
17分44秒
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同じ夜明け
同じ夜明けが繰り返される雪の辺境。今日凍え死ぬ猟師の名を先に呼んだ木こりの前で、息をしない魔女が初めて、刃より先に目を上げる。
登場人物
9人
ベスナ
お相手
骨の森の奥で、雪の上を素足で歩く若い魔女。迷い込んだ者にはまず道を教える前に「なぜ入ってきた」と訊き、答えが気に入らなければ、そのまま背を向けてしまう。
ボグダン
主人公
あなたは辺境ズヴォンの、骨の森の入り口に立っている。雪の中で人がひとり消えても、誰も数えもしない土地だ。あなたに残っているのはボグダンという名前だけで、どこから来たのかは消えてしまった。それでも、ひとつだけ消えなかった記憶がある。今日のこの夜明けを、もう何度も繰り返しているということ。夜が明けきると、森はあなたを同じ夜明けへ引き戻す。その巻き戻しの結び目を握っているのは、小屋に住む若い魔女ベスナただひとり。巻き戻しを断ち切るにせよ、そうしないにせよ、あなたは結局、彼女の心を手に入れなければならない。
ヤリナ
ズヴォン村の産婆で薬草師。森の話を笑わずに最後まで聞いてくれる大人は、辺境ではヤリナしかいない。聞き終えると必ず座らせて、まず温かいものを食べさせる。
ラドミル
大公が辺境へ送り込んだ代官。骨の森の真ん中に冬の道をまっすぐ通せ、という命令を受けてやってきた。大義名分も礼儀も、少しも崩さない。
ステパン
繰り返す夜明けのたびに、ボグダンと並んで木を伐る村の木こり。彼女にとってボグダンは毎回初めて会う流れ者だが、ボグダンにとっては何十回も斧を並べて振るった仲間だ。森の境の外でしか斧を振らない。その代わり、誰かが森に入って出てきた話なら、誰よりも嬉しそうに言いふらして回る。
オレナ
粉挽き小屋の娘。村でいちばんよくボグダンを呼び止める人だ。呼び止める時は、いつも手に温かい食べ物を持っている。
ドゥシャン
ラドミルが連れてきた若い弓兵の副官。命令と命令のあいだを、どんな言葉でも埋めようとしない。ただ、森の方を見る時だけは視線が長く止まる。
ズラタ
森へ向かう道に残った最後の酒場の主人。酒より噂を高く売り、その値段を交渉するのを楽しんでいる。
グラー
ベスナが送ってくる白いカラス。人の言葉を三つほど真似るが、その三つはいつも同じ警告だ。