
東の魔女は、空から落ちてきた家の下敷きになって死んだ。けれど森の呪いは半分しか解けなかった。呪いは止まっても、斧に切り落とされたものは戻らない。だからこの森の人々は今も台所に斧を置かず、鏡を伏せておく。エラ・クークリップは油差しひとつを持って、その森へ入る。祖父が作ったブリキの体を、もう一度歩かせるために。ニック・チョッパーは斧で体を少しずつ失い、失った場所ごとにブリキを継ぎ足してきた男だ。継ぎ目は四十一箇所。それなのにその体のどこにも、心臓を入れる場所はない。初霜が降りる前に、彼の錆をすべて落とせるだろうか。そして、泣けば錆びる人を、泣かせてしまってもいいのだろうか。
第4話からは星のかけらで開きます。一度開いた話は、いつでも読み返せます。
第1話約14分無料油のひとしずくブリキ職人エラは、イラクサの野原で一年固まっていたブリキの人ニック・チョッパーを、油七滴で目覚めさせる。初霜まで三十日、彼は木で代金を払い、旅立つつもりだ。
第2話約12分無料三歩夜明け、工房の踏み石に斧を置いたブリキの人は、昨日の油七滴をまず帳簿に書いてほしいと言う。伐採の初日、彼は最後までエラに背を向けない。
第3話約14分無料固まった膝のそばの一日落ちてくる斧を、自分の膝で受けたブリキの人。エラは急がず、日が沈むまでその膝のそばに座り、鉄をなだめ続ける。
第4話約13分20帳簿の余白夜更けに金槌を返しに来たニックの古い借りを合わせようと、祖父の帳簿を最初からめくるエラは、どのページにも書かれた「あの子」が誰だったのかを知る。
第5話約15分20カラスのいない畑カラスのいない畑で、おしゃべりなかかしがニックの固まっていた一年を語り、旅立ちの朝を数え上げる。
第6話約10分20お代は、のちほど代金を書くのを先延ばしにして市場へ行ったエラは、一年のあいだ誰もニックを探さなかったことと「お代は、のちほど」と書かれた緑の紙を知る。帰りのイラクサの野原で、降りだした雨を彼女は自分の背中で受け止める。
第7話約13分20炭焼き小屋の、乾いた場所
第8話約13分20雨、七滴
第9話約13分20預けたもの
第10話約14分20風は、そちらから