


第2話三歩12分39秒
ランプを手に、しばらく立ちつくしてた。食器棚は、それきり何の音も立てなかった。そのとき、おじいちゃんの言葉を思い出した。
クークリップエラや。それは、おまえの物じゃないよ。
エラ・クークリップ……ねえ食器棚、わかった。きみには触らない。……おじいちゃん、わかりました。
明け方に行ってみると、掛け金はそのままだった。なのに、扉の下のすきまから、埃が、中から外へ押し出されてた。背筋がひやっとして、一歩下がった。
エラ・クークリップきみ……中で、動いたんだね。……そこに、誰か、いるの?……掛け金は、おじいちゃんが掛けたの。私が勝手に開けるわけには、いかない。……仕事が終わったら、また来る。仕事のあいだも、きっと、きみのことが頭から離れない。また来たら、…