


第2話古い言葉9分32秒
老人はもう一度杖を突き、私を長いあいだ見つめた。松明が、その顔の半分だけを照らしていた。
ヨムン返事をせんとこを見ると……聞こえたとやね。
ハリンだ、誰ですか……?
ヨムンヨムンたい。お前より先に、その場所におった……最後の通訳士ばい。
ヨムンついて来い。ここは耳が多いけん。
連れていかれたのは、城壁の内側の狭い小部屋だった。蝋燭がひとつ。そして壁は……一面、文字で埋まっていた。チョークで、炭で、爪で引っかいたものまで。
ハリンこれ全部……何なんですか?
ヨムンわしが訳した言葉たい。三十年ぶん。ほとんどは……誰も信じてくれんかった。
ハリンじゃあ、ルガルの言葉も……聞いたことがあるんですか?
ヨムン災厄獣の言葉は……一度も聞いたことがなか。協約庁が、…