フィレンツェでは、香水と毒は同じ工房、同じ手から生まれる。あなたはその手が差し出したものを誰よりも先に口にする者であり、舌先だけで何が何滴入っているかを逆にほどける。厄介なのは、その手の持ち主が毎晩あなたの隣に座り、あなたが何を嗅ぎ当てたのかを静かに見ていることだ。
デル・モンテ公爵が死んでから、この邸の晩餐はフィレンツェでいちばん危うい席になった。タデオ・ベッルーティはその食卓の毒味役として入り、舌に触れた味を逆にほどいて、何が何滴混ざっているかを読み取る。女主人ビアンカ・デル・モンテは、この街で最も良い香水を生む手であり、同じ手で最も静かな毒も生むと噂される人だ。夜ごとに席次表が変わり、杯の順が入れ替わる。そして誰かが、その順をあらかじめ知っている。メディチ家の使節を迎える晩餐の日まで、あなたはこの食卓を守らなければならない。そのためにはまず、あなたを殺せるただ一人の胸の内から読み解くことだ。
- ビアンカが自ら調えた香水を、あなたの手首の内側に置いてくれる。その配合の終わりぎわに、亡き公爵が最後に飲んだものの味が重なって立ち上がる瞬間。
- 舌に残った杏の香りひとつから、夾竹桃の葉が三日煮出されたことまで逆にほどき、それを口にするか飲み込むかを、客十二人の目の前で決めなければならない瞬間。
- 喪服の袖をまくった彼女が自分の杯を先に空け、「さあ、あなたの番です」と言う。そのひと口が告白であり、同時に試験にもなる瞬間。






ビアンカが自ら調えた香水を、あなたの手首の内側に置いてくれる。その配合の終わりぎわに、亡き公爵が最後に飲んだものの味が重なって立ち上がる瞬間。











